銀太のひとくちアドバイス

今月のテーマ 運転テクニック向上・その@
『スポーツ・ドライビング』
対象 未経験者〜

内容
 サーキット走行をしてみると、車の運転はスポーツである事が分かります。
と、いきなり書き出しても走行をしたことが無い人、レース観戦すらした事の無い人にはピンと来ない場合が多いでしょう。
「『モータースポーツ』と言われて、何処がスポーツなのか分からない」という話をよく聞きます。
まず、サーキット走行初心者の方や、未経験の方にはこの点で意識改革の必要(中級者以上の人には再確認の必要)があると思います。ココを基本に考え出すと運転姿勢(ポジション)の重要性、操作の仕方、車の挙動の考え方というのが分かってくると思います。

車が走るだけなのに... →よく聞く話なのですが...。では視点を変えて「スキー=スポーツ」は皆さん納得の行く話だと思いますよね?では、さっき言われた事と同じ視点でとらえると「スキーは板が滑るだけ」、別のスポーツでは「テニスはラケットがボールを返すだけ」「アーチェリーは弓が矢を飛ばすだけ」という話になりかねません。もっと言えば「射撃」は体が静止していて、人が指先を動かすという動作だけにも関わらず、オリンピックにも認定されているスポーツですよね?要は「道具(車)が勝手に動いて何かをする…」ではなく、「人が道具を如何に使うか」という点でスポーツの要素が生まれてくる訳です。車が勝手に行きたい方向に走る乗り物であれば、スポーツという表現にはならないでしょうが、人が車に乗り込み、コースを把握し、路面状況を判断し、ステアリングやペダル等の操作をタイミングよく、的確に操作する。しかもそこに「スピード」というスポーツには重要な要素も加わります。
どうです?なんとなくスポーツの一種だという事が分かってきましたか?

運転姿勢 →ドラテク本を読んだり、当ホームページの「サーキット走行の基本」にも書かれている事ですが、ドライビングテクニックの話というと、必ず最初に書かれる内容が、この「運転姿勢」の話ですよね?
では、何故「運転姿勢」が大切なのか、それは先程書いたようにサーキット走行がスポーツだからです。スポーツをやられた事のある方なら皆さん記憶に有るかと思いますが、一番最初に教えられた事が「姿勢」ではなかったでしょうか?スポーツを行なう上では、人が如何に効率よく正しい操作をするかが、全てにおいての基本となります。
まずは、車の運転も他のスポーツと同様に、人の体の中心軸と腰の位置が大切です。車と人の体が一体となり路面の状況、車の姿勢変化を体で感じながら操作する必要があるだけでなく、コーナリングG(コーナーで横に動かされる力)に体を対抗しなければなりません。又、更に両手両足の同時操作も必要となる事から、シートに座るポジションの中で、腰が最も安定する位置を決める必要があります。レーシングカーに乗るプロのレーサーが、体にピッタリと合ったフルバケットのシートに、キツく4点式(5点式の方が多いですが)のシートベルトを締めるのはこの為です。

操作の仕方 →次に操作の仕方を考えてみます。いろいろなドラテク本にも載っていることなので、今回は具体的な話は省略します。(今後掲載するかも知れませんが...)
ただ、頭に入れて欲しい事は「スポーツ力学に適合するような動きをする」です。
例えば、ステアリングを握る力は、常には力を抜いて必要なときに必要なだけ入れられるのがベストです。
ゴルフや野球、テニスでインパクトの瞬間だけ力が入るのと基本は同じです。初めから強くクラブやバットやラケットを握っていると余計な力が入り正確な動作が出来ないのと同じで、常にはステアリングを軽く握るだけにしておきます。
又、肘が直角に曲がるように余裕を作るのは、力が入りやすく、素早い操作が出来るようにする為です。例えて言うなら水泳のクロールで、手を胸の前で掻く時に効率良く力を入れる為に、直角に肘を曲げて上から下へ動かす腕の使い方と同じです。
ペダル操作は、スキー同様に足の裏で感じ、母指球(親指の付け根の膨らんだ部分)で押し、微妙な操作を指で行います。
全てが効率よく、無駄の無い動きを考えていくと、各スポーツそれぞれに合った「基本の型」になっていくのと同様に、ドライビングの「基本の型」となっていくでしょう。

汗をかく? →実際にサーキットを走ってみると、非常に汗をかく事が分かります。これは人によっては冷や汗も混じっていたり...(笑) (ちなみに私もよく冷や汗をかきます)
これは、まさしくドライバーも運動をしている証拠ではないでしょうか?
激しい横Gに耐えながらのステア操作、ペダル操作、シフト操作、しかもALTの走行においては、息つく暇もありません。
かと言って、「エアコンをかけて涼しく運転」というのも、車の負担を考えるとお奨めは出来ません。エアコンをOFFするのは当然で、オーバーヒートし易い車に乗っている場合は、更に設定を”暖房”もしくは”最高温度”にしてファンを”全開”にした方が良いです。
ちなみに、私は汗を掻いても良い様に、大抵着替えを準備して行きます。それは、Tシャツ一枚だけ持って行く事もあれば、車をいじる必要がある時などはそのままツナギで走って、帰りに普段着に着替える事もあります。

リラックス →後に話す「集中力」と一見相反する様に聞こえますが、本来は両立させることが重要です。
緊張状態では、的確な判断も出来なくなるし、体は能力を出し切れません。
しかし、一人で走りに来たり、走行に慣れていないと緊張するものです。
では、リラックスするにはどんな方法が有るかを考えてみましょう。
・仲間と来て一緒に走る様にする
・友人を連れてくる(見学でも、同乗でも、友人がいるとリラックス出来る事もあります。逆にプレッシャーになる人もいるので要注意!?)
・同じ走行時間の人と話しをしてみる(挨拶だけでもしておくと、その場が和む場合があります)
・走行時間帯に気を付ける(難しい事ですが、同時に走行する台数が少ない時間やギャラリーの少ない時間:早朝や最終時間などを狙うのもいいでしょう。これは、季節によって変化するようですが...)
・自分に変なプレッシャーをかけない(特にいい車に乗っていると起き易い事ですが、見栄を張らない様に、また、自分の実力を把握せずに、とんでもない目標を立てない様にしましょう)
・ピットインの回数を多く取る(一度止まって冷静になる時間を作りましょう)
・止まって他車の走りも見てみる(いい走りも、悪い走りも見れば何かの参考になるし、気が楽になる時もあります)
・スタッフと会話してみる(忙しそうにしている時は遠慮した方がいいでしょうが、基本的に車好きな人達ばかりなので楽しく相手をしてくれるはずです)
などが考えられます。
ただ、リラックスと言っても「適度」な緊張状態も必要です。なんせ普段の一般道路では味わえない限界状態を作り出して走行するのですから...

 この他に、集中力とタイミング、メンタル的な部分、動体視力などスポーツに欠かせない要素も有りますが、長くなるので次の機会にお話しします。